香山寺
香山寺は高知県四万十市坂本の香山寺山にかつて建てられていた、弘法大師ゆかりの寺院です。
現在のお堂は、公園として整備された「市民の森」の中に位置しています。
敷地内に建つ三重塔展望台からの、360度見渡せる眺望景観は圧巻です。
■ 目次
行事 住所 アクセス
土佐くろしお鉄道中村駅から車で約15分ほど。園内までは登山道、車道も通っています。
基本情報
住所 | 〒787-0156 高知県四万十市坂本974-1 |
電話 | 四万十市公園管理公社 0880-37-0608 |
入館料 | 無料 |
創建 | 不詳 |
開山 | 弘法大師 |
宗派/山号・寺号 | 室生山 求聞持院 |
市民の森 | 3月16日~9月30日 9:00 ~ 19:00 10月1日~翌年3月15日 9:00 ~ 16:30 |
香山寺の由緒
6世紀に大陸から伝わった仏教は、平安時代に入ると中国の唐へ留学した2人の僧、最澄と空海によってそれぞれ天台宗、真言宗を開いて日本の仏教をリードするようになります。
中でも空海(弘法大師)は諸国をめぐって仏教を広めた話は各地に多く残されています。
四万十市坂本に残るかつての香山寺も、開山は安並の石見寺と並び弘法大師(774~835年)によるものと伝わります。
当時は七堂伽藍(仏塔、金堂、講堂、僧坊、経蔵、鐘楼、食堂の7堂)を有する大寺であったともいわれています。
2005年(平成17)年、香山寺東麓にある坂本遺跡の発掘調査では、出土した遺跡から香山寺山の麓にかけて、その一帯が寺域だったとも推測されています。
江戸期には土佐藩主の山内忠義、忠豊公により建て直しも行われますが、天和年間(1681~1684年)に退転し、 同中村にあった大円寺と兼帯(運営を兼任すること)になり、1871(明治4)年に廃寺となります。
現在のお堂は1897(明治30)年に、地域の人々により再建されたものです。
四万十市郷土博物館に収蔵される「南仏上人座像(なんぶつじょうにんざぞう)」は、晩年香山寺に住んだ僧侶の南仏上人(金剛福寺別当)の肖像彫刻です。
四万十市郷土博物館
鎌倉時代に制作されたこの像は、県指定文化財となっています。
香山寺の見どころ
四万十市坂本地域東側にある坂本遺跡の北、皇子神社の傍らに香山寺山へと上る登山道があります。
一方、車の場合は中筋川と並走する香山寺山の麓を走る市道を西側から入ると市民の森への入口があります。
園内への入場は、時期によって開園時間が変わっていますので注意が必要です。
※2019年時点の情報につき最新は公式HP等でご確認ください
香山寺山は高さ222mの山で、上り始めて数分もすると市街地が一望できるほどの高さまで来ることができます。
園内では、駐車場、トイレ、アスレチック広場などの環境が整備されています。また四季に合わせて様々な花が咲き、あたたかい季節は家族連れで賑わっています。
西側は弘法大師ゆかりの香山寺のお堂が建てられ、その周囲には往時の風情を色濃く残す遺構が散在しています。
三重塔展望台へ向かうと、天に向かって突き出た美しい相輪がかつての寺院を彷彿させてくれます。
展望台は近年建てらたもののようですが、真下から見上げるとその重厚感が伝わります。
階段を上って最上階からは、360度見渡せる四万十市のパノラマが開けます。
敷地さらに西に歩を進めると、法形造本瓦葺きの一宇が建てられています。風化した梁やくすんだ柱からは、長い年月を経て刻まれた歴史の一端を垣間見ることができます。
さらに奥へと進めば、案内板に明記された樹齢約500年と伝わる大杉。雷でしょうか、途中で折れてしまっており、先端部分が地面に横たわっていました。
子受地蔵尊。頭を三回撫で子授けを祈るとご利益があるといわれています。
園内には1番から33番まで観音様が安置され、その穏やかな表情と佇まいに郷愁を感じます。
四万十市坂本の山間に佇む弘法大師ゆかりの寺院の跡。
隆盛を誇った時代の伽藍を見ることはもうできませんが、深閑とした園内の雰囲気の中には言葉にはいい表すことができない懐かしさを覚えます。
今も散在する遺構の1つ1つとの対話を愉しみ、悠久の時を体感してみてください。
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